ハルカが寝てる。


あらまーめずらしいモン見たわ。野球でどんなに疲れてても、授業は結構マジメに受ける奴なのに。


よっぽど疲れてんのかな。


ハルカの席は、あたしの2つ前の左隣。寝息にあわせて上下に動く後頭部がちょうど丸見えだ。


…………いいこと思いついた


筆箱、カバン、制服のポケットなどあらゆる箇所を探って、それをかき集める。



わずか5分後、あたしの机の上に姿を現したのは、10本の輪ゴム。


1本、指にかける。


まるでピストルのように狙いを定めて…



バン



あぁ残念、外れた。次。



バン



また外れ。



バン、バン、バン



5発目に、やっとあたった


ハルカはわずかに身じろぎするだけで、目を覚まさない。



起きなよ、ハルカ。


かわいい彼女が起こしてあげてんだからさ


ハルカの後ろの席でペンを動かしていた清二がこっちを睨んでくる。無視。



バン、バン



届け、ハルカに届け



バン



あたしの気持ちも一緒に乗せて



バン




大好きなアナタへ



バン



10発目があたった



今度こそ、後頭部を掻きながらハルカが体を起こす


自分の周りに散らばる輪ゴムを寝ぼけ眼で見、ゆるゆると後ろを振り向いた。


困ったような、呆れたような笑い顔。





おはよう、ハルカ。




あたしの気持ちも、届きましたか?





私の大好きな、アナタだから




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